離婚の手続の流れや、離婚の際に話し合う内容や決めるべき内容について、ご説明いたします。
離婚は、通常、離婚協議(話合い)→離婚調停→離婚訴訟という流れで手続が進んでいくことになります。
当事者間で行われる話合いです
裁判所で行われる話合いです
証拠に基づいて裁判官が判断することになります
以下では、離婚の際に話し合う内容や決めるべき内容について、ご説明いたします。
通常は、まず初めに、離婚について当事者間で協議することが多いと思います。
離婚について弁護士に相談される方は、この離婚の話合いの前や、話合い中の段階で相談される方が多いです。
また、弁護士が当事者の代理人となって、配偶者の方と協議することも可能です。
離婚に関する話合いで問題となる内容としては、次のものがあげられます。
離婚することについての合意がない限り、協議離婚はできません。
離婚すること自体については合意がある場合や、離婚の条件次第では離婚に応じるという場合には、以下の離婚条件が問題となってきます。
夫婦双方が親権者となっている未成年(18歳未満)の子どもがいる場合、離婚するためには、夫婦のどちらが親権者になるかを必ず決めなければなりません。
養育費の金額をいくらにするか、養育費をいつまで支払うか(支払の終期)、毎月の養育費だけでは足りない学費・教育費などの支払をどうするか等の問題があります。
養育費の金額については、調停や訴訟になった場合は、双方の収入や子どもの人数・年齢に応じて、裁判所が使用している算定表にしたがって決めることが一般的です。
そのため、話合いの時点でも、算定表を参考にして養育費を決めることが考えられます。
養育費をいつまで支払うかという点については、20歳になるまでとする場合が多いですが、大学を卒業するまでとする場合もあります。
婚姻費用とは、夫婦や子どもたちの生活費のことです。
同居しているときは、夫婦間で家族の生活費について毎月やりくりをしていると思います。
また、別居しているときも、家族である以上、夫婦や子どもたちは同程度の生活が保障されなければなりません。
そのため、夫婦が別居しているときなどに、収入が多い方の配偶者から十分な生活費が支払われていないときには、毎月の生活費の支払を求めることが可能です。
養育費との違いは次のとおりです。
婚姻費用:配偶者分+子どもたち分
養育費 :子どもたち分
そのため、通常は、婚姻費用の金額の方が養育費の金額よりも多いことになります。
婚姻費用の金額については、養育費と同様に、調停や訴訟になった場合、双方の収入や子どもの人数・年齢に応じて、裁判所が使用している算定表にしたがって決めることが一般的です。
そのため、話合いの時点でも、算定表を参考にして婚姻費用を決めることが考えられます。
面会交流とは、子どもと離れて暮らすことになる父または母と、その子どもとの面会や交流のことです。
面会交流の方法としては、直接会う方法以外に、電話、テレビ電話、手紙、メール、LINEなどで交流する方法もあります(「間接交流」といいます)。
財産分与とは、夫婦が形成した財産を分け合うことです。
訴訟で財産分与が問題となる場合には、通常、結婚してから別居するまでの間に夫婦が形成した財産を、2分の1ずつ分けることになります。
財産分与の基準日は、通常、別居日とされています。
財産分与の対象となるものとしては、不動産、預貯金、保険の解約返戻金、車、株式・投資信託、退職金などがあります。
また、住宅ローンなどの債務についても考慮することになります。
もっとも、財産分与はそもそもプラスの財産を分け合うものです。
そのため、訴訟になった場合、トータルではプラスの財産よりも債務などのマイナスの財産の方が多い場合には、プラスの財産がないため、財産分与は認められないことになります。
夫婦の一方に、不倫(不貞行為)や暴力などがあった場合、慰謝料が発生する可能性があります。
年金分割とは、厚生年金に関する財産分与のようなもので、夫婦が結婚している期間中に年金保険料を支払ったことにより形成される将来の厚生年金について、夫婦で分け合う制度です。
分け合う割合は、通常は2分の1です。
年金分割を行うと、将来年金を受給するときに、年金分割が反映された年金額が支給されることになります。
年金分割の対象は厚生年金だけであるため、自営業の場合など国民年金しか支払っていない夫婦の場合には、年金分割を行うことはできません。
夫婦が平成20年4月1日以降に支払った年金保険料分の厚生年金については、配偶者との合意がなくても年金分割を行うことができる場合があります(「3号分割」といいます)。
しかし、それよりも前に支払った年金保険料分の厚生年金を分割するためには、配偶者との間で年金分割の合意をする必要があります(「合意分割」といいます)。
年金分割の手続は、年金事務所で行うことになります。
そのため、年金分割を行った場合、具体的にどのようになるのかは年金事務所で確認することが可能です。
また、年金事務所に請求すると、合意分割を行うために必要となる「情報通知書」という書類を作成してもらえます。
情報通知書を作成してもらうためには、下記の書類が必要となります。
①請求者本人の基礎年金番号が分かる年金手帳など
②婚姻期間が分かる戸籍謄本などの原本
既に別居しているような場合、同居していた自宅に残っている荷物などの引取りをどうするか、決める必要がある場合があります。
離婚について取り決めた内容について、離婚協議書や合意書などとして書面に作成する場合、具体的にどのように書けばよいかという問題があります。
また、公証役場で、夫婦双方の合意に基づいて公正証書を作成することも考えられます。
公正証書を作成する場合、その中に、養育費の支払義務者が、もし仮に養育費の支払が滞った場合、裁判を起こすことなく直ちに強制執行をされてもやむを得ないという内容(「強制執行認諾文言」といいます)が入っていれば、このような状況になった場合に、裁判を起こすことなく差押えをすることが可能となります。
なお、養育費についてこのような強制執行認諾文言が入った公正証書を作成して離婚した場合、養育費の取決めに関する費用分などについて、お住まいの自治体から補助金を受けられる場合があります(「養育費確保支援事業」などとして行われています)。
ただし、お住まいの自治体にこのような制度がある場合でも、児童扶養手当の支給を受けているか、または同等の所得水準にある方など、一定の要件があります。
また、自治体によって補助金の上限額も異なります。
そのため、詳しいことはお住まいの自治体にご確認ください。
堺市の養育費確保支援事業(堺市ホームページ)https://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/sodan/youikuhi_kakuho.html
協議離婚の場合、離婚届が役所に受理されて初めて離婚したことになります。
離婚届の作成方法や記載内容などについては、協議離婚の場合の離婚届の書き方をご参照ください。
当事務所に離婚に関するご依頼をされる場合の費用につきましては、次のページをご覧ください。
離婚|堺北法律事務所