協議離婚により離婚届を役所に提出する際の必要書類、記入方法、記入内容等について、最新の内容をご説明いたします。
なお、裁判離婚の場合については、次のページをご覧ください。離婚届の書き方(裁判離婚の場合)
提出先は次のどちらかです。
1 届出人の本籍地がある役所
2 届出人の所在地の役所
「所在地」とされているため、住民票上の住所がある役所に限られません。
なお、2の役所(届出人の本籍地ではない役所)に提出する場合、これまでは戸籍謄本の提出が必要とされていました。
しかし、戸籍法の改正により、令和6年3月1日からは戸籍謄本の提出は原則不要となりました。
協議離婚により離婚届を提出する場合、役所には以下の書類を提出する必要があります。
1 離婚届
離婚届の入手方法としては、役所の窓口でもらう方法以外に、ダウンロードして印刷する方法もあります。
大阪市などでは、ホームページから離婚届をダウンロードすることが可能です。
印刷する際には、A3の用紙に印刷してください。
大阪市のホームページ
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369802.html
なお、離婚届の様式は全国共通です。
もっとも、市町村によって欄外の記載が異なる場合があります。
そのため、提出先の市町村とは異なる市町村のホームページから離婚届をダウンロードする場合には、提出先の市町村に確認した方がよいかもしれません。
2 離婚届を窓口で提出する方の本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの、官公署が発行した顔写真付きの書類1点
なお、上記本人確認書類がない場合には、健康保険証、年金手帳、社員証などの、氏名・住所が記載された書類2点が必要となります。
※ 上記1、2の他に、これまでは、本籍地でない役所に提出する場合、戸籍謄本の提出が必要とされていました。
しかし、戸籍法の改正により、令和6年3月1日からは戸籍謄本の提出は原則不要となりました。
1 筆記用具
鉛筆や、消えやすいボールペン、インクでは書かないでください。
2 印鑑について
印鑑については、2021年9月1日から離婚届への押印が不要となったため、現在は不要です。
もっとも、任意で押印することは構いません。
押印する場合には、実印である必要はなく、認印でも大丈夫ですが、押印が必要だった頃はシャチハタは不可とされていました。
印鑑を押す場合には、夫と妻それぞれ別の印鑑をご使用ください。
3 訂正方法
以前は離婚届に押印しなければならなかったため、訂正する場合には、二重線を引いた上に訂正印を押していました。
また、離婚届の欄外に、訂正のための捨印欄が設けられている場合もありました。
これに対して、現在はそもそも押印が不要となったため、市区町村によってホームページの記載は異なりますが、例えば福岡市のホームページでは、訂正が生じた場合、訂正箇所に署名もしくは欄外に署名してくださいとされており、離婚届の欄外に捨て署名欄が設けられています。
もっとも、訂正方法については特に何も記載されていない市区町村が多いため、離婚届を提出する市区町村にご確認いただければと思います。
離婚届に書く内容は次のとおりです。
離婚届を提出する日を記入してください。
届出先の市区町村を記入してください。
(大阪市北区に届出する場合には「大阪市北区長 殿」、和泉市に届出する場合には「和泉市長 殿」など)
夫と妻それぞれの、氏名、ふりがな、生年月日を記入してください。
住民登録をしている、住民票上の住所を書いてください。
世帯主の氏名も、住民票に記載されている世帯主を書いてください。
婚姻中の本籍(現在の本籍)を記入してください。
筆頭者の氏名については、戸籍謄本のはじめに記載されている人の氏名を書いてください。
本籍地が分からない場合、本籍地を確認する方法としては、住民票を取ってそこに本籍地を記載してもらう方法が考えられます。
夫と妻それぞれについて、父母の氏名と続き柄(長男、二女など)を書いてください。
養子縁組をされている場合には、養父、養母の氏名も書いてください。
父母や養父母が既に亡くなられている場合にも記入してください。
協議離婚の場合には、協議離婚の□の欄にチェックを入れてください。
「婚姻前の氏にもどる者」とは、結婚により苗字が変わった方のことです(一般的には妻の場合が多いと思います)。
結婚により苗字が変わった方は、離婚により現在の戸籍を抜けることになりますので、今後の戸籍について次の①~③から選ぶことになります。
①結婚前のもとの戸籍に戻り、旧姓を使う
②新しい戸籍を作り、旧姓を使う
③新しい戸籍を作り、現在の苗字をそのまま使う
①~③のいずれを選ぶかによって、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄の記載内容が変わってきます。
①結婚前のもとの戸籍に戻り、旧姓を使う場合
「もとの戸籍にもどる」にチェックを入れ、結婚前のもとの戸籍の本籍地と、その筆頭者の氏名(一般的には父の氏名となる場合が多いと思います)を記入します。
ただし、戻る戸籍に記載されている方が全員亡くなっている場合など全員除籍になっている場合には、もとの戸籍に戻ることはできないため、②または③の方法によることになります。
また、戸籍には「三代戸籍禁止の原則」というものがあるため、1つの戸籍に三代(父母、本人、本人の子)が一緒に入ることはできません。
そのため、結婚により苗字が変わった方がもとの戸籍に戻った場合、その戸籍にその方の子どもを入れることはできないことになります。
そこで、離婚により子どもの親権者になった場合、その子どもを一緒の戸籍に入れるためには、②または③の方法によることになります。
なお、①の結婚前のもとの戸籍に戻り、旧姓を使うことにした場合でも、離婚の日から3か月以内に、結婚当時の苗字を使う旨の届出をした場合には、③と同じように新しい戸籍を作り、結婚当時の苗字をそのまま使うことができます。
このような届出のことを、「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称(こんしぞくしょう)の届出)といいます。
この届出書は役所にあります。
②新しい戸籍を作り、旧姓を使う場合
「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れ、新しく作る戸籍の本籍地にする場所と、その筆頭者となるご自身の旧姓での氏名を記入します。
なお、新しく作る戸籍の本籍地は、日本国内に存在する地番であれば、どこでも可能とされています。
③新しい戸籍を作り、現在の苗字をそのまま使う場合
離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄には何も記入しないでください。
この場合には、離婚届とは別に、「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称(こんしぞくしょう)の届出)を提出する必要があります。
この届出書は役所にあります。
夫婦の間に未成年(18歳未満)の子がいる場合は、夫が親権者になる子については「夫が親権を行う子」の欄に、妻が親権者になる子については「妻が親権を行う子」の欄に、子の氏名をフルネームで記入します。
非常に重要な項目であるため、どちらが親権者になるか記載されていない場合には、離婚届は受理されません。
なお、親権者を定めるだけでは子どもの戸籍は変わりませんので、子どもの苗字を変えるためには、裁判所に申立てをして、裁判所の許可を得ることが必要となります。
この場合の手続については、離婚後の子どもの戸籍や苗字の変更をご参照ください。
未成年の子が、離婚する夫または妻の実子ではなく、養子縁組により親子関係にある場合、その親子関係については、離縁しないと解消されません。
同居を始めたときの年月は、結婚式をあげた年月または同居を始めた年月のうち早い方を書いてください。
そもそも同居していない場合には、全て空欄のままで構いません。
別居していない場合には、別居した年月欄は空欄にしておいてください。
既に夫婦が別居している場合には、別居前の、最後に同居していたときの住民票上の住所を記入してください。
「別居する前の世帯のおもな仕事」については、夫婦が同居していた当時、世帯の主な収入源になっていた仕事の□にチェックを入れてください。
1~6までの具体的な分類の内容は次のとおりです。
1 「農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯」
→専業農家、兼業農家など
2 「自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯」
→自由業、商工業、サービス業などの個人事業主や自営業者
3 「企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)」
→従業員数1人~99人までの会社、団体、法人、個人商店等の正社員、契約期間が1年以上の契約社員など
4 「3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)」
→従業員数100人以上の会社、団体、法人、個人商店等の正社員や、契約期間が1年以上の契約社員
また、公務員、会社役員、団体役員など
5 「1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯」
→会社、団体、法人、個人商店等に勤めている方や公務員のうち、契約期間が1年未満の方など
6 「仕事をしている者のいない世帯」
夫婦の職業欄は、国勢調査の年の4月1日~翌年3月31日までに離婚届を提出をするときだけ書いてください。
なお、国勢調査は5年ごとに行われ、直近では2020年に行われました。次回は2025年に行われる予定です。
夫婦それぞれが、必ず自署で氏名を書いてください。
氏名は婚姻中の氏名(現在の氏名)を書いてください。
印鑑については、現在は不要とされていますが、任意で押印しても構いません。
印鑑を押す場合には、夫と妻それぞれ別の印鑑をご使用ください。
離婚届の書式によって記載欄が異なりますが、日中に連絡のとれる電話番号を記入してください。
証人は2人必要で、18歳以上の成年の方であれば、誰でも証人になることができます。
署名欄は、必ず証人本人が自署で書いてください。
印鑑については、現在は不要とされていますが、任意で押印しても構いません。
証人の生年月日、住民票上の住所、本籍地も記載してください。
本籍地が分からない場合、本籍地を確認する方法としては、住民票を取ってそこに本籍地を記載してもらう方法が考えられます。
未成年の子がいる場合には、「面会交流について取決めをしている」「まだ決めていない」の□のあてはまる方にチェックを入れてください。
経済的に自立していない子(未成年の子に限られません)がいる場合には、「養育費の分担について取決めをしている」「まだ決めていない」の□のあてはまる方にチェックを入れてください。
養育費の分担について取決めをしている場合には、その取決め方法について、「公正証書」「それ以外」の□のあてはまる方にもチェックを入れてください。
休日や役所の時間外に離婚届を提出した場合、後日役所の方で確認して、不備がなければ受理されることになります。
役所の窓口に来ていない配偶者に対しては、離婚届が受理された後遅滞なく、その役所から、離婚届を受理したことが通知されます(戸籍法27条の2第2項)。
通知方法については、上記配偶者の住民票上の住所に、転送不要郵便等で送付されます(戸籍法施行規則第53条の3)。
離婚届を提出した後、離婚したことがすぐに戸籍謄本に記載されるわけではなく、一定期間の時間がかかります。
具体的にどのくらいの日数がかかるかについては、市区町村によっても異なりますが、一般的には、離婚届の提出後、1週間から2週間前後かかるとされている場合が多いように思います。