離婚する夫婦の間に未成年(18歳未満)の子どもがいる場合、どちらが親権者になるかを必ず定めなければなりません。
もっとも、親権者を定めて離婚届を提出しても、それだけでは子どもの戸籍は変わらず、苗字も変わりません。
そのため、結婚当時の戸籍に残ったままの子どもの戸籍(苗字A)を、離婚して苗字が変わった方(親権者)と同じ戸籍(苗字B)に移して、同じ苗字Bにするためには、さらに別の手続を行わなければなりません。
具体的には、家庭裁判所に、子の氏(苗字)の変更許可の申立てをして、家庭裁判所の許可を得ることが必要となります。
手続全体としては、次のような流れで行うことになります。
役所に離婚届を提出します
家庭裁判所に子の氏(苗字)の変更を許可してもらいます
役所に入籍届を提出します
そこで、以下では、この流れに沿ってご説明いたします。
家庭裁判所に、子の氏の変更の申立てを行うことができる方は、次のとおりです。
1 子どもが15歳未満の場合
その親権者である父または母
2 子どもが15歳以上の場合
その子ども本人
裁判所には、以下の書類を提出する必要があります。
1 子の氏の変更許可申立書
裁判所に行って申立書をもらうこともできますし、下記の裁判所のウェブサイトからダウンロードすることもできます。
子どもが15歳以上の場合の、子の氏の変更許可申立書(裁判所ウェブサイト)
子どもが15歳未満の場合の、子の氏の変更許可の申立書(裁判所ウェブサイト)
2 子どもが現在入っている戸籍の戸籍謄本(最新のもの)
離婚したことが記載されている最新の戸籍謄本(苗字A)であることが必要です。
なお、離婚届を提出しても、離婚したことが戸籍謄本に記載されるまでには一定の期間が必要となりますので、ご注意ください。
3 子どもが新しく入る戸籍の戸籍謄本(最新のもの)
子どもが、離婚して苗字が変わった方(親権者)の新しい戸籍(苗字B)に入る場合、その新しい戸籍の戸籍謄本が必要となります。
この戸籍謄本の取得につきましても、上記2と同じように離婚後一定の期間が必要となりますので、ご注意ください。
4 (子ども1人につき)収入印紙800円分
5 裁判所からの連絡用の郵便切手
必要な郵便切手の額、枚数は裁判所によって異なりますので、裁判所のホームページなどでご確認ください。
なお、大阪家庭裁判所のホームページによると、本庁、堺支部、岸和田支部ともに、下記の郵便切手が必要とされています。
①15歳未満の子の申立て
人数にかかわらず84円×3(合計252円)
②15歳以上の子の申立て
1人あたり 84円×3(合計252円)
子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。
裁判所に持参して提出する方法でも、郵送で提出する方法でも可能です。
郵送で提出した場合、特に問題なければ、裁判所に出頭することなく1~2週間程度で、裁判所から郵送で、子の氏の変更を許可することが記載された審判書が届きます。
この審判書には、「申立人の氏『A』を母の氏である『B』に変更することを許可する。」などのように記載されています。
家庭裁判所から子の氏の変更の許可を得た後、最後に、役所に入籍届を提出しなければなりません。
この入籍届を提出することにより、結婚当時の戸籍に残ったままの子どもの戸籍が、離婚して苗字が変わった方(親権者)の戸籍に移り、苗字が同じになることになります。
役所には下記の書類を提出する必要があります。
①入籍届書
役所にあります。
また、例えば大阪市では、ホームページからダウンロードすることも可能です。
大阪市ホームページ https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369889.html
②裁判所が作成した、子の氏の変更許可の審判書
提出先は次のどちらかです。
1 届出人の本籍地がある役所
2 届出人の所在地の役所
届出人の「所在地」とされているため、住民票上の住所がある役所に限られません。
なお、2の役所に提出する場合、これまでは戸籍謄本の提出が必要とされていました。
しかし、戸籍法の改正により、令和6年3月1日からは戸籍謄本の提出は原則不要となりました。
当事務所に子の氏(苗字)の変更許可申立てを依頼される場合の費用は次のとおりです。
もっとも、この費用はあくまでも目安ですので、実際の費用についてはご相談ください。
種類 | 費用(税込み) |
---|---|
着手金 | 3万3000円 |
報酬 | なし |
実費 | 戸籍謄本等の取寄せ費用、印紙代、切手代など |