【遺留分】計算方法・割合・期限・生前贈与との関係を弁護士が解説|堺北法律事務所

【遺留分】計算方法・割合・期限・生前贈与との関係を弁護士が解説|堺北法律事務所

遺留分の内容、計算方法、期限、遺言書や生前贈与との関係などについて、堺北法律事務所の弁護士が解説いたします。

はじめに

相続では、

  • 長男だけが住宅購入資金の援助を受けていた
  • 親から生前に土地や建物の贈与を受けていた
  • 遺言によって特定の相続人に財産が集中している

といったケースが少なくありません。


このような場合、他の相続人にも一定の権利が認められることがあります。
それが「遺留分」です。


以下では、遺留分の意味・内容、生前贈与と遺留分の関係、住宅購入資金の援助が問題となるケース、遺留分侵害額の計算方法などについて解説します。


当事務所では、堺市、大阪市、大阪狭山市、高石市、和泉市、松原市など、大阪府内の遺留分に関するご相談をお受けしています。
また、遺留分侵害額請求を行いたい方からのご相談はもちろん、遺留分侵害額請求を受けた方からのご相談も承っております。
初回相談料は無料ですので、お気軽にご相談ください。


遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上保障された、最低限の相続財産上の利益です。


被相続人には遺言によって財産を自由に処分する権利があります。
しかし、遺言によって特定の人に財産が集中し過ぎると、残された家族の生活保障や相続人間の公平が害される場合があります。


そこで民法は、配偶者、子、直系尊属について、一定の割合の財産的利益を保障しています。
これが遺留分です。


なお、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

遺留分侵害額請求とは

遺留分を侵害された相続人は、受遺者(遺贈を受けた人)や、受贈者(贈与を受けた人)に対し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。


なお、以前は、「遺留分減殺請求」として認められており、遺留分減殺請求の行使により、不動産の共有関係が生じることがありました。


しかし、2019年7月1日に施行された改正民法により、それまでの「遺留分減殺請求」は廃止されました。
そのため、現在は、原則として金銭請求によって解決する仕組みとなっています。

遺留分侵害額の計算

遺留分侵害額の計算は、概ね次の流れで計算します。


  • STEP
    個別的遺留分額の算定
  • STEP
    既に取得した利益を差し引く
  • STEP
    引き継ぐ相続債務を足す


以下では、STEP1~3について、それぞれ説明いたします。


①個別的遺留分額の算定

遺留分算定の基礎財産 × 総体的遺留分率 ×遺留分権利者の法定相続分
によって、遺留分権利者ごとの個別的遺留分額を算定します(民法1042条)。


遺留分算定の基礎財産


遺留分算定の基礎財産は、

  • 被相続人が相続開始時に有していた財産
  • 法律上加算される生前贈与

を合計し、

  • 被相続人の債務

を控除して算定します(民法1043条)。


このため、被相続人に借金、未払金、保証債務などの相続債務が多い場合には、遺留分の金額は減少することになります。
そのため、相続財産が多く見えても、債務の存在によって遺留分侵害額が大きく変わることがあります。


被相続人が相続開始時に有していた財産としてどのようなものがあるかという点については、次のページをご覧ください。
【遺産の調査方法】不動産・預貯金・株式などの調べ方を解説|堺北法律事務所



総体的遺留分率

総体的遺留分率は相続人の構成によって異なります。
具体的には次のとおりです。

法定相続人 総体的遺留分率
配偶者+子 2分の1
配偶者のみ 2分の1
子のみ 2分の1
配偶者+親 2分の1
親のみ 3分の1
兄弟姉妹 なし


遺留分権利者の法定相続分

遺留分権利者の法定相続分については、次のページをご覧ください。
法定相続人と法定相続分をわかりやすく解説|堺北法律事務所



②既に取得した利益を差し引く

次に、遺留分権利者が既に取得している利益を控除します(民法1046条2項1号2号)。


例えば、

  • 遺贈によって取得した財産
  • 特別受益に当たる生前贈与
  • 遺産分割によって取得すべき財産

などです。


なお、上記の特別受益にあたる生前贈与については、相続開始前の10年間にされたものであることという限定がなく、期限は定められていないことに注意が必要です。



③引き継ぐ相続債務を足す

最後に、遺留分権利者が承継する相続債務額を足して、遺留分侵害額を算定します(民法1046条2項1号2号)。



具体例

例えば、

  • 遺留分算定の基礎財産:3000万円
  • 相続人:子どもAとBの2人
  • 遺言書によりAが全財産を相続

という場合、Bの個別的遺留分額は次のようになります。


遺留分算定の基礎財産3000万円
×総体的遺留分率2分の1
×法定相続分2分の1
=750万円


そのため、Bが相続によって何も取得していない場合には、原則としてAに対して750万円の遺留分侵害額請求を行うことができます。


もっとも、実際には、

  • 生前贈与の有無
  • 特別受益の有無
  • 相続債務の存在
  • 不動産の評価額

などによって金額が変動することがあります。

生前贈与は何年前まで遺留分の対象になる?

「生前贈与は何年前まで遺留分の対象になるのか」という相談は非常に多くあります。


しかし、すべての生前贈与が同じ基準で扱われるわけではありません。


相続人以外への贈与

相続人以外の第三者への贈与については、原則として相続開始前1年以内の贈与が遺留分算定の基礎財産に加算されます。


もっとも、贈与者と受贈者の双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をした場合には、1年以上前の贈与についても対象となります。



相続人への贈与

相続人への贈与については、相続開始前10年以内の贈与が遺留分算定の基礎財産に加算されます(民法1044条3項)。


もっとも、すべての贈与が10年間対象となるわけではありません。


民法1044条3項により、

  • 婚姻のための贈与
  • 養子縁組のための贈与
  • 生計の資本として受けた贈与

に限って、相続開始前10年間まで遡って遺留分算定の基礎財産に算入されます。


したがって、単なる小遣いや日常的な援助まで当然に10年間対象となるわけではありません。

住宅購入資金の援助は遺留分の対象になる?

住宅購入資金の援助は、「生計の資本として受けた贈与」に該当する可能性があります。


例えば、

  • 住宅購入の頭金の援助
  • 土地購入資金の援助
  • マイホーム建築資金の援助

などです。


もっとも、すべての住宅購入資金援助が当然に特別受益となるわけではありません。


援助額、被相続人の資産状況、他の相続人との公平などを総合的に考慮して判断されます。


特別受益に当たると判断された場合には、相続開始前10年間の援助が遺留分算定の基礎財産に算入される可能性があります。

不動産の生前贈与があった場合

親から土地や建物の贈与を受けていた場合、その贈与が特別受益に当たるかどうかが問題となることがあります。


また、

  • 相続開始時点の不動産の評価額はいくらか
  • 遺留分侵害額はいくらになるか

などについて争いになることも少なくありません。


特に不動産の評価額によって請求できる金額が大きく変わることがあるため、慎重な検討が必要です。

遺留分侵害額請求には期限がある

遺留分侵害額請求権は、いつまでも行使できるわけではありません。


遺留分権利者が、


  • 遺留分を侵害する遺贈又は贈与があったことを知った時から1年間行使しないとき

又は

  • 相続開始の時から10年を経過したとき

は、遺留分侵害額請求権は消滅します。


そのため、生前贈与や遺言書の存在が判明した場合には、できるだけ早く対応することが重要です。

よくあるご質問

兄だけが多額の生前贈与を受けていました。遺留分を請求できますか?

生前贈与が特別受益に該当し、その結果として遺留分が侵害されている場合には、遺留分侵害額請求が認められる可能性があります。


住宅購入資金の援助は必ず遺留分計算の対象になりますか?

必ずではありません。


住宅購入資金の援助が「生計の資本として受けた贈与」に当たり、特別受益に該当すると評価される場合には、遺留分算定の基礎財産に含まれる可能性があります。


10年以上前の生前贈与も対象になりますか?

相続人に対する婚姻・養子縁組・生計の資本のための贈与については、原則として相続開始前10年間のものが対象です。


遺言があっても遺留分を請求できますか?

遺言によって遺留分が侵害されている場合には、遺留分侵害額請求を行うことができます。


遺留分を請求された場合はどうすればよいですか?

請求額が常に正しいとは限りません。


生前贈与の範囲、不動産の評価額、特別受益の有無、相続債務の内容などについて争いになることが多いため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。


遺留分侵害額の請求はどのような方法で行なえばよいですか?

遺留分侵害額の請求は、期限が問題となることがあることなどから、内容証明郵便で請求するのがよいと思います。

費用

遺留分の請求をする場合に必要な費用は次のとおりです。
もっとも、この費用はあくまでも目安ですので、実際の費用についてはご相談ください。


業務内容 費用(税込み) 備考
相談料 30分につき5500円
着手金
(示談交渉)
22万円
着手金
(訴訟)
33万円
(ただし、先に示談交渉のご依頼をいただいている場合にはその分を差し引きますので、追加着手金11万円)
裁判の回数に応じて費用が増えることはありません
報酬 得た利益の1割(+消費税)
実費 切手代、印紙代など



具体例を示してご説明いたします。
なお、以下の具体例はあくまでもご説明のための例ですので、実際にお願いする費用は、以下の具体例と異なる場合があります。


【具体例1:示談交渉だけで解決した場合】

  • STEP
    示談交渉

    着手金22万円

    実費5000円

  • STEP
    回収

    報酬33万円(300万円を回収した場合)



【具体例2:示談交渉だけでは解決せず、訴訟により解決した場合】

  • STEP
    示談交渉

    着手金22万円

    実費5000円

  • STEP
    訴訟

    追加着手金11万円

    実費3万円

  • STEP
    判決・和解による解決

    報酬33万円(300万円を回収した場合)